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2005.09.13

小泉圧勝はどれほどのものなのか?

「郵政民営化是か否かを問う」とした、ほとんどワンフレーズの小泉戦略に席巻されたかのような今回の総選挙、結果は、小泉首相と自民党の地滑り的勝利となり、議席数は公明党と合わせて与党全体で、衆議院の2/3を超えた。これは、元々優先権のある予算、条約承認だけでなく、全ての議案で、第二院の参議院で仮に法案が否決されても、憲法の規定で再可決して法律を成立させる事が出来るとともに、少なくとも衆議院においては憲法改正の発議もすることが出来るという大きな意味を持つ議席だ。
つまり、憲法改正を除けば、ほとんど国会は、小泉首相と「小泉衆議院」の思いのまま。何でも出来る状況といっても過言ではない。公認問題に絡んで踏み絵を踏まされた自民党衆議院議員に、異を挟める余地も胆力も無いだろう。

確かに、稀代のハッタリ役者、小泉純一郎氏は勝った。
しかし、勝利、勝利と言われるが、本当に国民はこれほどまでの圧倒的信任を小泉首相と与党に与えたのだろうか?
獲得議席を見て、あたかも圧倒的多数の国民、有権者が、小泉マジックに酔いしれ、私も選挙前に書いた催眠術が解けずに、小泉首相を支持したのか???

率直に言って、私は大いに疑問がある。

一つの切り口から考えてみたい。
それは、実際の得票の状況、得票率という切り口だ。
確かに自民党はマニフェストには色々書いている。しかし、党首の小泉首相は、選挙中、選挙勝利後の特別国会で郵政民営化法案を再び国会に提出し可決させるという、ほとんど選挙後1ヶ月間の公約しかしないも同然の態度であった。
選挙はさながら「郵政民営化」という一つの課題を問う国民投票といった様相であった。
そうであればこそ、2/3の圧勝という事ではなく、得票がどうだったのかという事を見る必要がある。

小選挙区の各党別得票数、得票率は明日(9/13)の新聞等には掲載されるだろうが、くわしい資料が今(9/12深夜)手元に無いので、比例代表の得票数と得票率で、とりあえず考えてみたい。

自分で集計してみた結果は次の通り。
  得票数・・・・・・・得票率
 自民 25,887,798・・・・・ 38.18%
 民主 21,036,425・・・・・ 31.02%
 公明 8,987,620・・・・・ 13.25%
 共産 4,919,187・・・・・ 7.25%
 社民 3,719,522・・・・・ 5.49%
 国民 1,183,073・・・・・ 1.74%
 日本 1,643,506・・・・・ 2.42%
 大地 433,938・・・・・ 0.64%
合計 67,811,069・・・・・100.00%

まず、自民、公明の与党の合計は、51.43%である。確かに小泉首相は「国民投票」には勝った。これは事実として認めざるを得ない。
しかし、同時に言えることは、少なくとも小泉与党以外の党に48.57%もの票が投ぜられているという事だ。
51.43 : 48.57 は、僅差というべきだ。「国民投票」としてはとても圧勝とは言えないだろう。
議席数に表れた2/3超というほどの圧勝イメージには程遠い。
また、小泉政権成立直後の内閣支持率80~90%という小泉フィーバーに比べても実は国民は冷めているようにも思う。最近の内閣支持率よりも低い得票率だ。

逆に考えれば、小泉マジックと大手マスコミの洪水のような大バックアップにもかかわらず、ここまで僅差の結果というのは、選挙戦の中で、国民は催眠術から相当程度覚めたのではないかということと、「反&非小泉派」は大きく押し戻し健闘したと言えるのではないだろうか。決して日本国民は捨てたものじゃないという事でもあると思う。
選挙期間がせめてドイツ並みにあったなら、小泉の勝利であったにせよ、結果はいま少し違っていたのではないかと思えてくる。(議席も僅差の勝利がちょうど良かった)
  ※ちなみにドイツは、日本より先に解散があったのに、投票日は日本より1週間先

この結果を基礎にして、「小泉圧勝」という宣伝に惑わされず、私たちは暴走のチェックを強めていくことが必要なのではないかと思います。
小泉首相も自らを支持しなかった48.57%の国民の意思、この重みを十分踏まえながら政権運営を行っていくべきです。決して国民は、彼にフリーハンドを与えた訳ではないと考えるべきです。


もう一つ言いたい事。それは、民意は51.43 : 48.57 と僅差だったのに、議席数は、それとは遥かにかけ離れた結果に、何故なったかということです。
結論から言えば、小選挙区制という選挙制度に起因するということでしょう。
「テコの原理が働き政権交代がしやすい」とか色々言う人はいますし、それにプラスして、金のかからない選挙うんぬん含めて、「政治改革」の名で10年くらい前に、付録のような形で比例代表制と並立の形で、今の小選挙区制が導入されました。

私は、国民の代表機関である国会の構成は、多様な民意を極力正確に反映することが、代議制民主主義においては必要と考えているので、当時からこの選挙制度には反対でした。

余談ですが、あの時は、衆議院で可決後、参議院で細川政権の与党議員の一部造反により否決され、その後、議長斡旋に基づく、当時の細川首相と河野自民党総裁のトップ会談(談合)で、成立の方向に持って行かれてしまいました。参議院での否決時、細川与党であるものの反対した当新潟県選出・関係の参議院議員3名(当時の社会党、稲村、大淵、志苫の3議員)にたいして、激励の手紙を送ったのを思い出します。

今回の総選挙の結果は、その時の危惧が現実化したということです。
すなわち自民党は4割弱の得票で、6割を超える議席(61.7%)を獲得。
(小選挙区だけに限れば、自民党候補の得票率は47.8%、議席は73%)
与党全体では、5割を僅かに超える得票で、7割近い議席(68.1%)を獲得する。

これは、虚構の絶対多数と言うべきものです。

すなわち、多様な民意を切り捨て、相対多数に、実際以上の力を与える制度。
切り捨てられる票(これも民意)が、膨大に出る制度。民主主義に反すると考えます。
死票が出たり、極端な結果になるのは、野党共闘が出来ないことが問題だという意見も多いようですが、小選挙区制の持つ構造的欠陥こそ、より一層問題ではないかと思います。

日本は白黒はっきりさせるより、「和をもって尊し」と話し合いの文化の国だと思う(こうした体質を全て肯定するわけではないけど)。また、社会が多様化し、国民の個性や意識も多様化している中で、無理やりに二者択一を強制するような制度はいかがなものかとも思う。こうした事からも、国会の選挙制度は比例代表制をベースとした制度の方が合っていると思います。
そもそも民主主義は、本来、町内会の総会のように直接民主主義が基本であるが、社会の規模が大きくなる中でそれが出来なくなり、補完・代行する制度として間接民主主義、代議制民主主義に発展してきたものだと私は考えている。そうした意味からも、代議制民主主義の中でも、民意は出来るだけ正確に反映させる事が必要であると思う。
「民意の集約」などという事は、結局、力のある一部の者が、その他多数を支配するための方便のような気がする。

選挙でどうしても個人を選びたいのであれば、ドイツ型の「小選挙区、比例代表併用制」のような制度にすればいいと考える。
現在の制度(小選挙区、比例代表並立制)は、比例代表はあくまで小選挙区制の極端な面を緩和する付け足しでしかないという事と、並立であり本来別々であるはずの比例代表に、小選挙区との重複立候補と復活当選を認めるなどという、ドイツの併用制から都合の良い部分だけ持ってきたようなイビツな制度と言わざるをえない。イビツであるからこそ、比例の大幅削減とか、果ては比例の廃止による単純小選挙区制といった議論が良く出されるが(議員削減=歳出削減などの議論と絡められて)、これは、よりいっそう民意をゆがめ、多数党や力のある者にとって、都合の良い制度になってしまうと言わざるを得ないのではないだろうか。

私は、とりあえず、都道府県単位の比例代表制をベースとした制度を求める。
都道府県単位でのドイツ型の選挙区併用の比例代表制でも良いし、各都道府県1区の大選挙区制でも良いと思う。交通も発展しているから都道府県程度の広さがちょうど良いのではないだろうか?
現在の小選挙区は余りにも狭すぎる。これでは大所高所に立って社会全体を考えられる政治家はなかなか生まれない。勝利への道が過酷な分、権力者へのイエスマンは生まれるが・・・


※関連記事:>>「試合に勝って、勝負に負けた?小泉くん」

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