« ◆小泉の本末転倒の詭弁 | トップページ | ◆土星の月、タイタンに思う »

2004.11.12

◆「攻められたらどうするのか?」=隣国脅威論を克服して平和で安定した東アジアと世界をつくる努力を開始する時期では!

中国の潜水艦の領海侵犯と自衛隊による海上警備行動発動のニュースが、米軍によるファルージャ総攻撃のさなか、何でこんな時、というような“絶妙”なタイミングで、全国を駆け巡りました。
領海侵犯は、明白な主権侵害行為であり許される事ではありません。原則的な対応をきちんととる事が必要と考えます。
しかし、政府がいまだに「国籍不明」などと言っている摩訶不思議な状況であるとともに、今回の事件を活用して(利用?)、今後またまた対中国脅威論が叫ばれるのではないかという感じがします。

そして、現在行われている日朝実務者会談の結果とも絡みますが、

   中国・北朝鮮の脅威 ⇒ 日米軍事同盟重視論 ⇒ イラクでの米軍協力の必要性 ⇒ 自衛隊派遣継続

といった誘導がなされるような気がして仕方ありません。(風が吹けば桶屋が儲かる式に)

日本においてその後来るのは、
  ⇒ 国際的には、アメリカが世界中で起こす戦争に共同正犯としてますます関わらされる日本
  ⇒ 国内においては、憲法改悪と、アメリカの手下として「戦争が出来る国家」づくり
ではないかと危惧します。

現在、テロと隣国、脅威の対象は違いますが、アメリカでも日本でも国民に対して脅威と危機感をあおり、為政者の都合のいい方向へクニ全体を持っていこうとする、おおきな力を感じざるを得ません。
脅威に対抗して、力には力で備える。
本当にこれでいいのだろうか?
そうした問題意識を強く持ちます。


「攻められたらどうするのか?」
去る4月、メインのBBS・ふぉーらむ(マルセイユ)に次のような書き込みをいただきました。それに対して、BBSの常連さんたちからもいろいろ意見が寄せられましたが、以下は私の考え方として記した駄文を加筆修正したものです。

今回の問題とも関わる部分が多いので、このページにも掲載します。


【いただいた書き込み】

『一つ疑問なんですが』 (投稿者:まーめんま 2004/04/25 15:44:19)

『皆さん平和憲法を大事にしておられるようなんですけども、仮に中国や北朝鮮が攻めて来たら武器を持って戦いますか?それとも犬養毅のように「話せばわかる」と言いますか? 』


【私の主張・意見】   攻められたらどうするかとの問いかけに対して


結論から書くと”日本が攻められないような安定した関係を東アジアに、そして世界につくり上げる”という事に尽きるかと考えます。疑問の提起とかみ合わないかもしれませんが、これが私の答えです。これは、経済力や武力に頼るより、もっと高度な事だと考えています。そして、こうした理性的な世界をつくり上げることに人類が失敗した時は、地球と人類の破滅を意味しかねないと危惧しています。

まず、国連憲章の考え方に従えば、まーめんまさんが想定されるような「攻撃」が、仮に起これば、違法行為を行なう国に対して、その他の全ての国が、一致してそうした行為をやめさせる(安全保障理事会の決議に基づく武力的手段も含めて)ということではないかと考えます。これを”集団的安全保障体制”といいますが、現在、国際連合全体で有効に機能しているとはいえない状況であるのはご存知の通りです。(国連を構成する最大の国が、憲章違反を行う状況ですし・・・)


ちなみに、ここで言う”集団的安全保障体制”とは、世界全体、または特定地域全体の国々が、社会体制や考え方の違いを超えて、お互いの安全を保障し合おうという体制であり、日米安全保障条約や、NATOなどのように、気の合った国が集まって仲間の外からの攻撃に備えるというような体制は、旧来からある軍事同盟でしかなく、国連憲章が本来想定している集団的安全保障ではないと考えます。これら軍事同盟は、個別的安全保障の一種であると考えます。そして、ここからは、仮想敵国と軍事力均衡⇒増強の悪循環が発生してきたのが歴史の事実ではないでしょうか。


つぎに、日本国憲法との関係ですが、私は学生時代一応「憲法ゼミ」でしたので、法的には、日本国憲法は軍事力や国権の発動としての戦争を放棄したものと解釈しています。そうした点で、自衛隊は、憲法違反の存在であると考えています。

しかし、私は、現在の世界の中で、「永世中立」かつ「非武装中立」でよいと考えているわけではありません。

また、日本国憲法自身、「何があっても丸腰で万歳していればよい」という趣旨ではないと考えています。まーめんまさんは、「仮に中国や北朝鮮が攻めて来たら武器を持って戦いますか?」という問いを投げかけています。しかし、私は「攻めてきたら」といった前提には立ちません。両国は、日本にとって、地理的に逃げようにも逃げれない存在であり、また、古代から歴史的にも深く長い結びつきを持っています。こうした中国や朝鮮半島(北も南も)とは、好き嫌いに関わらず、友好関係をつくりあげる事が、政治・外交そして軍事上も重要な事であると考えています。

賛同していただけるかどうかはわかりませんが、日本国憲法の精神というのは、相手が攻めてきたらどうしようかということを前提に、つまり「仮想敵国」を想定しつつ、自らの軍事力を増強して、その均衡の上に「平和」を守ろうということではないと考えます。「戦争は政治の最終形態」という言葉がありますが、人類社会は、第一次、第二次の二つの世界大戦を経験し、ともに数千万規模の死者を出しました。


また、槍や刀で戦う戦国時代と違って、近代、現代の戦争は、核兵器を頂点とした大量破壊兵器を有し、仮に大国間の大規模な戦争になれば、地球と人類全体の破壊につながりかねない状況です。

こうした経験や現状の上に、現在では、国連憲章を始めとした国際法の体系の中で、例外を除いて「戦争は違法である」(原則違法)という事となっています。それ以前においては、「戦争は主権国家の権利」(すなわち原則合法行為)と考えられていた事から考えると、大きな変化があったのではないかと思います。


日本国憲法の考え方は、これを最も先進的に規定したもので、戦力放棄だけが注目されがちですが、戦争を起こさない、戦争を許さない国際関係の構築、ここにこそ、真髄があるのではないかと考えています。

犬養毅元首相が、5.15事件で、官邸で射殺された。「話せばわかる」「問答無用、撃て」・・・ 
これは、私も知っています。私は、「話せばわかる」と言うのが、良いか悪いかということではなくて、こういう状況に至らないようにするために、私たちは何をなすべきなのか? ここを考えるべきと思っています。


もちろん、私は、撃たれる前に、こちらが撃てという議論には反対です。

ヨーロッパ世界は、”欧州集団安全保障”の体制、東南アジアは、”アセアン”を軸とした集団安全保障の体制が存在します。

アフリカや南北アメリカにもあります。(アフリカ連合は出来たばかりですし、米州機構はUSAの意向に従属させられてきた歴史がありますが・・・)

これらは基本的に、体制や考え方の違う地域の国々のほとんど全てが参加して、お互いに平和を守りあっていこう、という体制です。国際連合憲章の想定する地域的集団安全保障の体制であると考えます。少なくともその萌芽。


しかし、日本を含む東アジアには、そうした関係はまだ存在しません。ここが、問題であると思います。アブナイ奴も国際社会にはいるかもしれませんが、それをことさら敵視して、自らも攻める体勢を強めるのではなく、こちらは平和・友好の高い見地、理性的な見地に立って、東アジアではお互いに攻めないし攻められない、もし約束を破る国が出たら、地域のみんなで止める、こういうヨーロッパや東南アジアのような体制をつくるように努力する事が、まず必要なのではないでしょうか。

特に日本は第二次世界大戦において”攻める国”であったわけですから、ヨーロッパにおけるドイツのように、過去を謙虚に総括し、近隣諸国と善隣友好体制構築の努力を人一倍行なう事が、近隣諸国から信頼を勝ち取る道であると思います。

わたしは、このような平和外交が、武力よりもっと強い、国を守る手段であると考えています。

確かに、国連憲章制定後、アメリカと当時のソ連を二極としたいわゆる"冷戦"で、国連憲章の精神はないがしろにされ、まーめんまさんが、危惧するような国際関係がありました。

そして、アメリカが、1960年代から1970年代まで、ベトナムで戦争をしていた時代、「戦争自体が悪い」といった声が当初からあったわけでなかったと思います。戦争反対の声が世界で、そしてアメリカ国内で広がったのは、アメリカ人の青年の戦死者が多数に上り、ベトナムで行なわれている米軍の非人道的な行動が広く世界の人々に知られるようになってからだと思います。

戦争に対する批判が高まって来てからは、私が子供のころ「巨人の星」というアニメがありましたが、その中でまで、星飛雄馬のライバルのアメリカ人(オズマ?)が、ベトナム戦争に召集されるといったシーンが出てくるほどでした。少年マガジンか何かで、当時のアメリカのニクソン大統領が、次第にフランケンシュタインに変わっていく4コマ漫画を見たこともあります。


しかし、今回のアメリカによる対イラク戦争の事を考えると、開戦の前から、世界中で数10万、数100万の反戦行動が行なわれました。アメリカ国内を含め開戦前からです。日本国内では、残念ながら数10万の反戦集会はありませんでしたから、実感はわきずらいですが、最近、軍のイラク撤退を決め実際に撤退を開始したスペインでは、昨年3月の段階で、マドリードを埋め尽くす戦争反対の集会があり、世論の9割は派兵に反対だったそうです。


「ブッシュが行なおうとしている戦争は国際法違反である」 世界最大の超大国の指導者が行なおうとしている戦争に対して、その本質を見抜き、それはおかしいという意見が、全世界では多数派であったと思います。そうしたことも背景として、アメリカ政府が経済的に弱い国々に強い圧力を掛けたにもかかわらず、国際社会、国際連合全体を、自らの戦争の味方にする事に失敗したのだと思います。


何を言いたいかというと、”自らの主張を実現するために戦争を行なう事は原則として認めない” こうした考え方が、国連憲章などの法的な面だけでなく、市民社会の合意=常識としても定着してきた、ということなのではないかと感じたということです。

この点は、非常に大きな人類社会の成熟であり、質的な変化、歴史的な発展であると、私は感じています。

今回は残念ながら、ブッシュの暴走を国際社会は止める事ができず、”有志連合”という名の”ブッシュとその仲間たち有志”による、戦争が起こされました。しかし、その後の経過は、現在、日々報道されている通りです。いずれ遅かれ早かれ、、こうしたブッシュとその仲間たち(有志連合)の行為は、破綻すると考えます。


最後に、中国と北朝鮮の現状に対する見方を一言。

私は、中国とは、弥生時代以来、2000年以上の付き合いがあるのですから、過去の歴史を克服し、善隣友好の関係をつくるよう努力すべきという立場です。

相手が核兵器も持つ地域の大国であるということもありますが、日本の経済的な面からも、互恵の関係を作り上げ、お互いに発展するということが、最も大切と考えます。

尖閣諸島の領有権問題や、沖ノ鳥島を島でなく岩であると言うなど、全く同意できない点はあります。こうした事には、はっきりと自信を持って、日本の立場を主張すべきだと思います。同時に、第二次世界大戦においては、日本軍の侵略により2000万人ともいわれる被害が中国にはありました。ヨーロッパにおけるドイツにならい、この歴史についてはしっかりと総括する事が必要であると考えます。

中国の側は、国策として現在、経済発展・建設に取り組んでおり、そのためにも地域の安定、すなわち平和が必要であると考えていると思います。今の中国は、戦争特需によって経済を発展させようという考え方ではないと思います。この点も含め、石原都知事などタカ派の皆さんがあおるような、”反中国キャンペーン”には賛成できません。

いろいろ、行き違いや、考えの相違があっても、話し合いで解決し、友好関係を維持発展させるべきです。

北朝鮮については、すぐにでも日本に攻めてくるかのような宣伝がなされていますが、私は、あの国にそのような実力は無いと考えています。仮に南北で戦争になっても、果たして戦車の燃料がどこまで続くのかとも思います。実力を侮る事はもちろん危険ですが、現在の日本国内での北朝鮮に対するマスコミの報道、脅威であるとの宣伝は、はっきり言って行き過ぎであると思います。張子の虎を本当の猛獣と影絵を見ながら宣伝しているように感じます。

また、彼ら(金○日一派)は、自分たちの地位の維持が、最大かつ唯一の目的だと思います。
彼らが”暴発”した時、その時、彼らは終わります。ですから、”普通なら”そういう暴発はしないと思います。逆にあまり追い込むのは危険です。

彼らが国際社会の一員として受け入れられるような変化を、粘り強く促していくことこそ、必要と思います。

この点、私は、韓国の大統領と考え方が近いかもしれません。日本は朝鮮半島の直接の当事者ですが、日本は隣人です。隣人は当事者の意向を尊重しつつ話を進めるべきではないでしょうか。

もちろん、拉致は国家犯罪であり、日本にとっては主権侵害、拉致当事者にとっては最悪の人権侵害ですから、ただちに真相解明と、原状回復を、強く原則どおり主張すべきと思います。

|

« ◆小泉の本末転倒の詭弁 | トップページ | ◆土星の月、タイタンに思う »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31534/1942075

この記事へのトラックバック一覧です: ◆「攻められたらどうするのか?」=隣国脅威論を克服して平和で安定した東アジアと世界をつくる努力を開始する時期では!:

» 「愛国心」って何だ? [Passing Strangers]
 俺は日本に生まれ、この国で成長し生活してきた日本人だから、もちろんこの国が大好 [続きを読む]

受信: 2004.11.15 21:47

» 【北朝鮮】拉致被害者を生かしておくメリット [改善案まにあ]
拉致被害者が生存している可能性について、私なりに分析してみたが、冷静に分析すると冷たい内容になる。 人によっては、読まれないほうがいいかと思う。 [続きを読む]

受信: 2004.12.20 08:47

« ◆小泉の本末転倒の詭弁 | トップページ | ◆土星の月、タイタンに思う »